出店概念
お店の売上げを決めるファクターを考えると、店の大きさ・商品・売り方・従業員のサービスなど、いろいろ考えられます。しかし、大手FC店のように、売り方や店舗の大きさが標準化されているチェーン企業でも、売上げは店によって大きく異なります。その違いは驚くほど大きい場合があります。
この売上げの違いを決定付けるものが「立地戦略」です。お店がどの場所にあるかということです。
お店の立地が悪いと、優秀な営業スタッフや従業員が一生懸命やっても売上げは上がりません。
だからといって、一度開店したお店を閉店したり人員を移動したりするのは大変な出費と労力と資源を無駄にすることになるのです。
立地セグメント
立地のパターンは、来店手段によって大きく通行人立地とロードサイド立地の2つに分けられます。
通行人立地は、主に徒歩と自転車・バイク等での来店が想定される立地のことです。それに対して、ロードサイド立地は、主に自動車での来店が想定される立地の
ことです。
ただし、この2つの立地にはっきりした境界線はありません。通行人が対象立地でも自動車で来店する人もいるでしょうし、その反対もあります。
また、来店手段とは別に候補地周辺にいる人々の生活様式(居住している・働いている・流入してくるなど)によって分ける立地の分類もあります。更に、サバーバン(サバブ・新しい住宅開発地域)、アーバン(旧市街地)、ダウンタウン(中心市街地)などにも区分されます。
店舗を設計する際の分類(区分)としては、住宅立地・繁華街(商店街)立地・オフィス街立地・学生街立地・駅前立地・郊外立地・観光立地などがあり、その中でも住宅立地、繁華街立地・駅前立地などは通行人対象であることが多く、郊外立地、観光立地はロードサイド型であることが多いと思われます。
人口セグメント
たとえば、私が住む名古屋市の人口は平成20年4月1日時点で2,236,844人ですが、前年比(平成19年)では、自然増減(出生マイナス死亡)が2,305人の増加、社会増減(転入マイナス転出)は10,752人となっており、合計で13,057人の増加となりました。
セグメントした各区のDATAを分析すると、名東区は977人・中川区は1,616人の増加。
しかし、ベビー服の0歳から4歳の男児に絞り込むと意外にもイメージでサバブと思われている名東区がマイナス12人に対し、中川区はプラス28人と分析されます。総人口、年齢別人口、外国人人口、労働力状態、従業上の地位、産業分類、世帯数各種(世帯の種類別・人員別・家族類別・経済構成別・家計の収入の種類別・住宅所有の関係別・住宅の建て方別・他)を絞り込んだ機能的且つ科学的手法をとりいれることが重要です。
交通セグメント
ひとつは通行人を対象(徒歩・自転車目線)とした調査を中心に進めます。
実際の立地調査は、人が集まる場所(駅や商店街など)からの人の流れや、住宅街の配置、人の流れから見た対象物件の視認性(サインポールや野立看板は外カーブ側)、営業時間帯の通行人の量や内容を、現地を踏襲して対象立地周辺の実数から分析します。
もうひとつは、ドライバーを対象(ドライバー目線)とした目標値の交通量であることに加え、店舗がドライバー客を対象とした場合、店舗への進入のしやすさや出やすさが重要です。現実には、来店はできるが来た方向へ帰ることができない(例えば中央分離帯の存在など)店が多い。
また、反対側車線からの進入や反対車線側への出やすさも重要である。
これらが十分満たされていることが、立地の最低条件であります。
競合セグメント
競合の店を調査する際は、まず調査項目を予め決めてから現地に向かいます。
お店の売上を左右するファクターを全て調べられれば良いのですが、多項目にわたるため、まずは「業種・業態」、「規模・設計・商品構成」、「競合店までの距離」、「客単価」、「入店数・入店率」、「客層」、「立地優劣」等を調査します。
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来客者数をカウントする
開店から閉店までの来店者数を数えます。総入店者数×客単価が売上推定値になります。
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レシートの入手
レシートに通し番号が印字されている場合、開店直後と閉店直前のレシートを入手すればだいたいの来店者数がわかります。
ただし、この方法は「来店者数」ではなく、会計する「組数」になってしまう事に注意する必要があります。 -
チェーン本部に問い合わせる
チェーン店であれば本部に直接問い合わせる方法があります。また、FC本部ではモデル店の売上を公表している場合があるので、店舗規模や従業員数等を比較し、売上げを推定する方法もあります。
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チェーン店地図検索サイト「ロケスマ」
既存店舗の商圏を侵さないか、競合店舗は先にあるのかなどをインターネット上で確認する事が出来ます。
法令上の制限
都市計画区域
都市開発を行うために指定された区域をいいます。指定されると、市街化区域と市街化調整区域に線引きされ、それぞれの区域で都市計画事業として道路、公園、学校などの公共施設の建設が進められる一方で、都市計画制限として開発行為や建築制限が行われることになります。都市計画区域は、その必要があるときは、行政単位にとらわれず市町村の区域外にわたり、指定されます。
都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分けすることを線引きといいますが、この区分けをしていない都市計画区域のことを、非線引き都市計画区域といいます。
いわば市街化区域と市街化調整区域の中間的な区域といえます。非線引き都市計画区域については、用途地域を必要に応じて定めるとされます。
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市街化区域
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域(既成市街地)およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいいます。
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市街化調整区域
市街化調整区域とは、市街化を抑制(禁止ではありません)すべき区域をいいます。
市街化区域には少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされます。【注意】平成18年の法改正により、社会福祉施設、医療施設、学校(大学、専修学校及び各種学校を除く)は、市街化調整区域内でも開発許可等の規制を受ける建築物に変更になりました。 詳細はこちら(PDF)
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商業・工業施設の用途地域
立地開発における用途地域の確認は、着手前に自分で公的機関に問い合わせることが最も重要です。
なぜなら、大手不動産会社からの紹介物件でもしっかり調べていないケースが多く、土壇場で出店が無理だと気付き大変な費用と労力と時間の無駄になるケースが多いのです。
特に住居系物件や市街化調整区域の旧既存宅地物件にご注意ください。【注意】都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律が平成13年5月18日から施行され、改正前の都市計画法第43条 第1項第6号の規定に基づく既存宅地確認制度は廃止されました。詳細はこちら
用途地域の確認は、各市町村の都市計画課が親切に教えてくれます。
また、株式会社ゼンリンの地価マップ都市計画用途地域図(25,000円税別)も便利です。